主催 | 一般社団法人家庭教育推進協会 |
講師 | 水野 達朗 理事 |
来賓 | 澤田 貞良 大阪府議会議員 |
セミナータイトル | ころんでも立ち上がれる子はあなたが育てる ~不登校の小学生が悩む「学校が怖い」「学校へ行きたくない」の正体~ |
司会進行 | ちゃろさん(ぷらす・エール西日本) |
参加者 | 49名 |
2013年4月29日、水野理事による著書「ころんでも立ち上がれる子はあなたが育てる-不登校の小学生が悩む「学校が怖い」「学校へ行きたくない」の正体-」の出版記念講演会が大阪で開催されました。
協会主催の講演会としては2011年2月に東京で行われた上野代表理事の講演以来2年ぶりとなります。
久々の講演会ということで、参加者も開催地である関西の方のみならず、東海・関東地方はもとより、最遠方では北海道よりご出席くださった方もおられ、51名定員の会場がスタッフを含め満席となる盛況ぶりでした。
今回の講演会は来賓として澤田貞良大阪府議会議員にご臨席いただきました。
澤田議員は大東市議会議員を3期務められた後、2011年に大阪府議会議員に初当選されました。
大阪府議会では、大阪府内の危険な歩道の整備事業を喚起され、公務員改革・教育改革に関して熱意ある行動をされており、特に教育改革においては1つの学校という枠を越えてパートナー校の間で学び合う「学校パートナーシップ制」の導入を提唱されています。
水野理事とも、こういった教育改革の集まりを通じて知り合われ、現在も懇意にお付き合いをしていることで、当日はお忙しいスケジュールを割いてご臨席くださいました。
祝辞の挨拶も言葉に説得力があり、さすが現役の府議会議員といった印象だったのですが、「学校パートナーシップ制」をはじめとする教育改革の構想などは、今後の大阪の教育はもとより日本の教育を大きく変える可能性があると思わせていただきました。
講演会を通して驚かされたのが、澤田議員の情報発信力です。講演の最中もiPadで講演の様子を写真にとりツイッターで公開されていました。休憩時間にお話を聞くと、すぐに「○○市長とマスコミからもレスポンスがありました」と反響を聞かせてくれました。
澤田議員は「いいものなのに、知らないのはもったいない」と。その言葉が胸にズシーンときました。
家庭教育の専門家でない澤田議員がこれだけ迅速な情報発信を行っているのに、家庭教育を推進する立場の我々が後手に回るとは情けない話です。
今回、澤田議員にご臨席いただいたことで改めて家庭教育の推進に務めていかなければならないと再認識させていただきました。
澤田議員。お忙しいところ、ご臨席いただき本当にありがとうございました。
今回は出版記念講演ということで、水野理事の新著書の内容に沿ってわかりやすく説明していくかたちとなりました。
この講演会では、年齢相応の自立というのが大きなキーワードとなっており、要約すると年齢相応の自立ができていれば、その上に本人のプライドや達成困難な理想などが上乗せされてもバランスは保たれるが、年相応の自立ができていないのに前述したようなプライドや理想を上乗せ、助長させたりすると自己肯定感のバランスが崩れてしまい、不登校や行き渋りなどに直結してしまう可能性があるということを詳しく説明していただきました。
その具体的な例として、たとえば小学2年生の教室に幼稚園の年長さんの子どもが座っていたらどんな気分になるだろうということで、年齢相応の自立ができていないことをイメージしやすいよう、こちらもプロジェクターにその図解を映しながら説明していただきました。
プロジェクターを活用することにより言葉だけでなく、図によって講演の内容が頭に入ってくるので、今後もプロジェクターの活用は検討していきたいと思っております。
後半の内容は家庭ノートをつける上でのポイントと、ペアレンツキャンプで家庭ノートをつけた方の前後変化について、具体的にその家庭のケースについてお話しいただきました。もちろん、今回の水野理事の著書にもケーススタディーは出ていますし、今回のプロジェクターにもその図は映し出されましたが、その家庭にどういった問題があって、どういった改善があったかなど、詳しい状況をユーモラスかつ細かく説明していただき、変化後のお子さんの状況、また電話の相談ではこんな苦労があったとか、本を読んだだけではみえてこない全体像が聞けるなど、講演会ならでは成し得たことだと思います。
そこにはリアルがありますし、実際に同じ悩みや苦労をされたかたもいらっしゃると思うので共感された方も多かったのではないでしょうか。
水野先生と言えば理論派でわかりやすい説明が評判ですが、今回も評判通りわかりやすい理論と説明で初めて参加されたみなさんには、水野式家庭教育論(水野理事が提唱されているParents Counseling Mind)とは、どのよう考え方なのかを具体的に説明してくださり、協会会員の方で講演やセミナーによく参加されている皆さんには、ついつい惰性で元に戻ってしまいがちな子どもへの対応方法をはじめ、普段から心がけておくべき家庭教育の重要性、考え方について再度認識させられる内容だったのではないでしょうか。
講演会の終了後、FEPAの坂下先生より2013年7月に開設する「ヒーリング・ケア名古屋支部」についての説明がありました。
ヒーリング・ケアとは、心理学と整体学の融合に着目し、心が身体に与える影響・身体が心に与える影響など、心と身体の密接なつながりに注目して自己治癒力の高め方や身体へのアプローチを通して、メンタルにプラスの効果を引き出す新たな手法です。
不登校や引きこもりの子どもたちは、いつも何かに怯え気を張っています。筋肉の緊張や、気疲れからくるだるさ、パソコンやゲームのやりすぎからくる猫背、腰痛、背骨のゆがみ。
とにかく何もしていないのに疲れてイライラしたり、夜眠れなくなったりなどの身体症状を抱えて生活しており、不登校の子どもを持つ親御さんにも同じような症状が多く見受けられます。これは誰にも言えない悩みや、子どもと毎日向き合う事による精神的、身体的な疲れの蓄積によるものでしょう。
これら精神的・肉体的な疲労を軽減させる目的でヒーリング・ケアを行うわけですが、どういうものかというと、体をさわる事によってこの様な身体疲労を軽減し、同時にカウンセリングする事で、心に抱えている不安や悩みも解消される。一度で二つの効果が期待できる全国でも数少ない試みです。
ヒーリング・ケアでは、施術ベッドを使って横になった状態や、座った状態で筋肉の緊張やこわばりを取る為に筋肉の指圧を行います。
また、タッピング・タッチという、ゆったりとしたリズムで指の腹を使って交互左右にやさしくタッチすることを基本としたシンプルな緩和療法をオプションとして取り入れる事で、よりリラックスした状態でカウンセリングができるようになり、はじめは口数が少なくても体をさわることで親近感がわき、人に言えない悩みが相談できるようになって「やる気・自信」につなげていけると考えています。
開設当初は名古屋支部のみでの活動になりますが、ご好評であれば、今後は東京や大阪など幅広く展開していく予定です。興味のある方はぜひ一度、体感してみてください。
今回の講演会は初めて参加される方、常連の方々ともに好評をいただきまして幕を降ろしました。その後に行われた2次会も、多くの方に時間の許す限り参加いただき、協会理事を始めとする協会スタッフも交え、いろいろなお話をすることができたと思います。
水野理事、ならびにご参加いただいたみなさま。ありがとうございました。
そして忘れてはならないのが、講演会の司会をお願いした ぷらす・エール西日本の「ちゃろさん」です。
今回の講演会は企画開始から実施まで、わずか1ヶ月という短い期間で準備せねばならず、時間的にかなりシビアだったのですが、そのなかでもかなりギリギリの段階で司会を引き受けていただいたにも関わらず、見事にこなされるあたり素晴らしかったです。
講演会にご参加いただきました皆様、細かなところでお手伝いいただいたぷらす・エール西日本の会員様。この場を借りて改めて御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
※当講演会のサイト上で掲載された「レポート」は執筆者個人の意見であり、所属の団体や組織等の意見ではありません。